2008-01-01から1年間の記事一覧

夢浮橋

後朝の名残も陽炎となりゆく熱気の中をゆらゆらと帰宅。氷を入れたカフェオレでなんとか躰を冷やす。からからと涼を鳴らす鍵善のくずきりの響きは、耳の奥で永く涼感を留めるものだが、流石にそうもおおどかにもして居れぬ暑気に煽られてただ横になるばかり…

The Spearhead: 槍ヶ岳〜西鎌尾根〜双六岳 part 3(7/20)

Course Time: 双六小屋(05:00)=>鏡平小屋(06:45)=>小池新道登山口(09:06)=>新穂高温泉(10:10) 三日目の朝、曇天。わづかに北の空の隙間から朝日が零れる。5時前には雨雲の中に入り、冷たい雨が舞う。森林限界を超えると、雨は何処からともなく降り、気がつく…

The Spearhead: 槍ヶ岳〜西鎌尾根〜双六岳 part 2(7/19)

Course Time: 殺生ヒュッテ(04:45)=>槍ヶ岳山荘(05:20)=>槍ヶ岳(05:42)=>槍ヶ岳山荘(06:30)=>千丈乗越(07:35)=>樅沢岳(10:37)=>双六小屋(11:00)=>双六岳(12:59)=>双六小屋(14:00) 3時半過ぎ、目が覚める。雲海の上に南アルプス、富士山、中央アルプス、八ヶ…

The Spearhead: 槍ヶ岳〜西鎌尾根〜双六岳 part 1(7/18)

Course Time: 上高地BT(06:55)=>横尾(09:10)=>槍沢(10:45)=>大曲(11:50)=>天狗原分岐(12:45)=>殺生ヒュッテ(14:45) 目が覚めると、バスは平湯トンネルを抜けたところだった。安房トンネルを出て釜トンネルに入り、行くことはあるまいと思っていた上高地に入…

in a sweat: 住吉道〜最高峰〜摩耶山〜新神戸

CourseTime:阪急御影(09:30)=>石切道分岐(10:10)=>七曲がり手前分岐(11:15)=>最高峰(11:48)=>ガーデンテラス(12:50)=>掬星台(14:25)=>市ヶ原(15:30)=>三宮(16:30) 夏に向けた練習ということで、六甲山へ。阪急御影から白鶴美術館の前を通って、住吉川沿いに…

裏山谷遡行

昨日は職場の飲み会で、起きたら日が高くなってしまっていた。熱気が家に吹き込む中で少々思案して、近場で涼しい所ということで裏山の谷を遡行してみることにした。 自転車で登山口まで10分少々。入り口の岩を過ぎて河原に降り、準備。靴を渓流用に履き替え…

パン屋(ブーランジェリー)列伝

昨今バタや小麦粉が高騰しているのでパンも高価になりつつあるが、旨いパンは旨い酒と同じ位代え難いものである。無論ご飯が嫌いと云うことはなく大好物であるが、旨い御飯は柔らかく強飯の食べ応えというのは御飯の旨さとは又異なり、しっかりと焼かれたパ…

Fall to the Ridge: 八淵滝〜北比良峠〜釈迦岳〜岩阿沙利山〜近江高島

Course Time: ガリバー旅行村(09:40)=>スキー場址(11:40)=>釈迦岳(12:27)=>ヤケオ山(12:52)=>ヤケ山(13:32)=>寒風峠(13:48)=>滝山(14:09)=>岩阿沙利山(14:43)=>近江高島駅(17:00)比良縦走以降、諸般の事情で一月ほど山に行っていない。まあ山に登るだけが生…

依らしむべし、知らしむべからず。

この言葉は、権力に限らず、力の本質を突いているかも知れない。力とは正(まさ)に依らしむることであって、更に言えば、知が力となるに際しても、依らしむことへの転移が起こっている様に見える。更に、何故、力動概念とその亜流がかくも人口に膾炙するのか…

比良縦走:権現山〜蓬莱山〜比良岳〜口ノ深谷(泊)〜武奈ヶ岳〜蛇谷ヶ峰(5/17-18)

初のテント山行はどうしようかと考えた挙げ句、やはり比良山へ。日帰りでは困難な端から端への縦走に挑戦することにした。平から入って朽木に抜ける一泊二日の行程である。 8時過ぎにJR堅田駅に到着。細川行きのバスを待つ登山客数名…と思いきや、その次…

蒼空の谷(5/6):JR比良駅〜イン谷口〜武奈ヶ岳〜堂満岳〜JR比良駅

GW最終日は梅田に出て登山用品店をハシゴしようかと思っていたのだが、天気予報を見ると見渡す限り晴れマーク、降水確率0%の大行進である。これは日帰りでも何処か行かねばなるまいと考えを改めるも、どうせ道は混むので大峰や台高はしんどい。鉄道その他で…

白山と赤鬼(後半=5/3):室堂〜白山御前峰〜白山大汝峰〜室堂〜別当出合〜市ノ瀬

夜は(枕にした雨具以外)着込めるだけ着込んでも寒かったが、それでもかなり眠っていたと思う。晴れて星空が綺麗だったそうだが、流石に其処までの気力はないままに夜明けを迎えた。 5時、窓から見上げると御前峰とその上空はクリアー、一泊した甲斐はあっ…

白山と赤鬼(前半=5/2):市ノ瀬〜別当出合〜室堂〜白山御前峰〜室堂

黄金週間は何処に行こうかと考えていたが、後半は天候が良くなさそうだし、人が多いのも暑いのも嫌なので、人が少なくて涼しくてそれなりに近い所、ということで加賀は白山に挑戦することにする。どうせなので室堂(5/1オープン)に一泊して初山小屋として計画…

果てしなき山々:行者還トンネル西口〜弥山〜八経ヶ岳(ピストン)

例年通り、4/15に国道309号の行者還トンネル区間が、4/22に大台ヶ原ドライブウェイが、それぞれ冬季通行止解除となったので、どちらかに行こうかと考えていた。大台ヶ原も棄てがたいが、此処は矢張り近畿最高峰八経ヶ岳を目指したいと思い、ザックに荷物を詰…

J.デリダ『声と現象』

声と現象 (ちくま学芸文庫)作者: ジャック・デリダ,林好雄出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/06/08メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 38回この商品を含むブログ (76件) を見る暖かくなってきたというのに、暫く家のあれやこれやで山に行けていない。無…

P.クロソウスキー『古代ローマの女たち――ある種の行動の祭祀的にして神話的な起源』

古代ローマの女たち――ある種の行動の祭祀的にして神話的な起源 (平凡社ライブラリー)作者: ピエール・クロソフスキー,千葉文夫出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2006/02/09メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る学生の頃は…

U.K.ル=グィン『所有せざる人々』

所有せざる人々 (ハヤカワ文庫SF)作者: アーシュラ・K・ル・グィン,Ursula K. Le Guin,佐藤高子出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1986/07/01メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 76回この商品を含むブログ (37件) を見る『闇の左手』もそうだが、ル=グィン…

R.A.ハインライン『異星の客』

異星の客 (創元SF文庫)作者: R.A.ハインライン,井上一夫出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1969/02/24メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 35回この商品を含むブログ (42件) を見る私は基本的に分厚い本は嫌いで、長編小説の類は読まないのだが、SFは若干そ…

安東次男『古美術の目』、或は祝祭と精神

古美術の目 (ちくま学芸文庫)作者: 安東次男出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2001/08メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 14回この商品を含むブログ (2件) を見る前から読みたかったのだが、気がつくと品切れで、Amazonでも素晴らしい古書値が付いている。…

Rise and Fall: 六甲全縦下見Part1(須磨浦公園=>新神戸)

夜勤明けの休みを使って六甲全縦の下見に行ってきた。結論から言うと、 「舐めてはいけない」 というところか。 吉増剛造を読みながら山陽電鉄須磨浦公園駅に到着したのは10時過ぎで、平日だから誰も居るまいと思っていたら、駅前にはハイカーの大集団が。矢…

Rock under the Sun: 大峯大橋〜洞辻茶屋〜山上ヶ岳〜レンゲ辻〜大峯大橋

この土日は晴天ということだったので、大峯山を目指すことにした。6時にルーテシアで家を出ると、丁度日の出だった。朱色よりも清らかな光の溜まりが山の端から不意と滲み出るように現れた。もうすぐ春分である。 山城と大和の二つの盆地を疾走して吉野川を…

雲中雪岳 朔風氷花:イン谷口〜金糞峠〜武奈ヶ岳(ピストン)

昨夜は目覚ましを5時に設定したはずなのだが、目が覚めたのは6時丁度だった。全く記憶にないが、目覚ましを止めてしまったのだろう。微量の嫌な予感が生成されたが、これくらいの遅れは許容範囲だろうということで、出発準備に入る。 比良の正面谷へは湖西線…

或いは開き、或いは閉じ。

アルトーの『ヘリオガバルス或いは戴冠せるアナキスト』を、私は長らく評伝だと思っていたのである。実に恥ずべきである。 とはいえ、この著作をカテゴライズすべきジャンルというものもまた見当たらない。 アルトーは、私に存在論の彼方を指し示した。全て…

理念について

私は或る意味で古臭い人間なので、意識的活動によって理念を実現する等と云うことは信じない。仮に理念が実現されるとすれば、その理念は生体と同様に錯雑した非意識的な生成であって、それは一般に考えられている様な、それ自体言説として抽出しうる理念で…

SPEED THROUGH SNOW: 阪急芦屋川駅〜六甲山最高峰〜阪急宝塚駅

今日は寝坊で、おまけに忘れ物をして取りに帰るという失態を演じてしまい、電車でさっと行ける山で、まだ登っていない山ということで六甲山に決める。実は、昨日ル=グインの『所有せざる人々』が届いたので、思わず読み耽ってしまったのだった。電車の中で…

冬の舳先(part2)

次の日、特に予定というものはなかった。少しゆっくり目に起きて、会社が始まる頃にチェックアウト。 頭上は板東の蒼空。この突き抜けるような、と言うよりは寧ろ突き放されるような青。私にとってはその空の下で暮らした日々以来、エデンの東を顕す様に感じ…

冬の舳先(part 1)

今週は東京へ出張だった。2日間の予定が終わって、その晩に友人と東京駅辺りで飲もうという約束を取り付けた。予定が少し早めに終わり、尚且つホテルが御茶ノ水と靖国通りの間だったので、東京駅まで歩いてみることにした。 何時も暗く静かな外堀と神田川、…

白いテラス:岩屋橋〜岩茸山〜(桟敷ヶ岳:敗退)〜岩屋橋〜二ノ瀬

1/26土曜日早朝、京都市北大路駅前。それほど寒いとは感じないが、工事現場には薄雪が白熱灯に照らされている。 小型の路線バスがやってくる、乗客は誰もいない。堀川北大路の辺りで女の子が乗ってくる。上賀茂に出た頃には既に夜は明けている筈だが、暗く、…

Mont de Glace:高見の山、磐余の日子の足跡を辿り、灰色く時を遡上。樹々は白く凍つる時空感覚器

夜明け前にルーテシアにて出発、一路南へ。冷え込むとの予報だったがそれ程でもない。 そのまま順調に飛ばして橿原市小房の交差点へ、思うに去年の後半から何回も此処を通っている。国道24号、同大和高田バイパス、169号、166号、165号が交差する奈良盆地南…

the snow peak: 坊村〜御殿山〜西南陵〜武奈ヶ岳(ピストン)

5時に起床、6時過ぎにルーテシアで出発。京都東ICから湖西道路を真野で降り、R477で途中からR367を北へ一路、葛川坊村を目指す。 比良武奈ヶ岳は一番好きな山の一つである。大峰も好きだが、大峰山系は畏れ多い雰囲気が漂い、この世のものとは思われない。比…