2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

仮面、消滅に依る出現

仮面は顔を隠す。仮面に仮装を加えた者は、誰でもない。ペルソナ(仮面)はペルソナ(人格)を消滅させる。仮面を被る者は、己であることを捨てる。 だが、仮面を被れば仮面になる、のではない。仮面が誰であるのかは、本来、仮面の決める所ではない。 仮面はつ…

復た、気分が大きく沈む。誰が、この馬鹿馬鹿しい広漠を領しているのだろう・・・ ・・・存在する、と身体は復唱する。止してくれ、余計な口を開くのは。

熊野へ 2:渦上の被膜

地元の人によると、熊野灘は急に深くなっており、浅瀬は波に巻かれた石礫が水中を舞っているので、泳げる様なものではないのだという。言わば人を喰う海であって、それが静かに紺碧の口を開けている。 そのままR42を南へ進むと、鵜殿の製紙工場の辺りから混…

熊野へ 1:緑海最深部を経て

土曜日の朝、ルーテシアにて出発。近畿道渋滞のため、京滋バイパス(側道)から国道24号線(R24)を目指す。が、こちらも1号線の前後で合流渋滞。大久保バイパスの追い越し車線を走るとそのまま京奈和道に上がる。暫定二車線の対面通行だが、概ね綺麗に流れて…

ベンヤミン『ドイツ悲劇の根源』読書メモ

哲学の教理は、実際また、幾何学的方法によって呼び出すわけにはいかない。数学は叙述の問題を完全に払拭する――厳密に事柄に即した教授法はどれもそのように振る舞う――ことが真正なる認識のしるしである、ということを明確に証ししているが、そこにはまた、…

第一阿房列車

第一阿房列車 (新潮文庫)作者: 内田百けん出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2003/04/24メディア: 文庫購入: 9人 クリック: 69回この商品を含むブログ (104件) を見る言わずと知れた、鉄道紀行文の傑作。天下無敵、百間先生が東海道、御殿場、山陽、呉、鹿児島…

完本 風狂始末―芭蕉連句評釈

完本 風狂始末―芭蕉連句評釈 (ちくま学芸文庫)作者: 安東次男出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2005/03メディア: 文庫 クリック: 3回この商品を含むブログ (2件) を見る骨董において恐るべき眼力を発揮する安東次男のライフワークとも言うべき、芭蕉連句の…