晴れ時々巨木、所により岩窟:和佐又〜大普賢岳〜無双洞〜和佐又

(2008/09/27 晴れ)
和佐又ヒュッテ(08:58)=>笙の窟(09:44)=>小普賢岳(10:13)=>大普賢岳(10:41)=>七曜岳(12:06)=>無双洞への分岐(12:14)=>無双洞(13:16)=>和佐又のコル(14:38)=>和佐又山(14:49)=>和佐又ヒュッテ(15:08)


本当は4時に起きるつもりだったのだが、寝過ごして5時起床。6時に出発。考えてみると、夏の間は全然車に乗らなかった。ガソリン価格云々以前に無茶苦茶混雑するし、屋外に停めると蒸し焼きになるし。山に行く時も、縦走だと入山と下山は別の場所になるので車は使い辛い。それ以前に、人より睡眠時間が必要で、普段乗らないからいつまで経っても運転に慣れない私に夜間長距離走行は無理なのだが。
とはいえ、大峰や台高へはやはり車でないと難しい。小房交差点でR169に入ると土曜の7時台というのに結構混雑している。吉野川沿いの細い道を抜けて山中に入り、快適な道を一路南へ。道路案内表示でR309行者還トンネル東側が崩壊して通行止めとのこと。伯母谷のループを経て、長大な伯母峰トンネルを抜けた直後に和佐又へ登る右折路がある。
1.5車線の急な登り道を延々と登って、9時前に和佐又ヒュッテに到着。本来であればR169との分岐点を入ったところのスペースに車を停めて其処から出発すべきなのだろうが、今日は時間が惜しい。


実は、此処には来たことがある。といっても18年前、中1の時だが。大阪市立自然史博物館の友の会の合宿でヒュッテに2泊して、大普賢岳にも登っているのである。あの頃は昆虫採集に夢中で山がどうこうという意識はなかったが。

当時の記憶は余り無いが、ヒュッテは殆ど変わっていなかった。実は、此処は冬はスキー場になる。


車道を辿り和佐又のコルを経て尾根に入る。あちこちに巨木が生えている。

やがて、日本岳の直下の岩壁に出る。それぞれ、指弾の窟、朝日の窟、笙の窟、鷺の窟と名前が付けられ、基部の窪みに不動明王や観音が祀られている。

私は岩は大好きだが、修験者の思念が積み重なっている気がして畏れ多い感じである。窟の上の空が流れてゆくのが心地良い。


日本岳と小普賢岳の間を詰めてコルに出て、岩場を回り込んで小普賢岳へ。鉄梯子が続く。小普賢岳というものの実際には山頂直下なので、踏み跡をたどって山頂まで行ってみるが、特に展望はなかった。
戻って、更に一旦下って大普賢岳への登り。此処も鉄梯子と鎖が続く急斜面である。まあ、周囲の山から見た大普賢岳が著しく尖った山なので当然なのだが、中学1年の自分が此処を登ったとは吃驚である。道は山頂の手前で北側に回り込み、奥駈道と合流して山頂へ。木々があるものの、ほぼ全周が見渡せる。南は弥山、八経ヶ岳、仏生ヶ嶽、釈迦ヶ岳の大峰最深部、西は台高、大台ヶ原から熊野灘へと続く果てしない山々、そして北には山上ヶ岳、大日山、稲村ヶ岳

昔の記憶が全然想起されないのは、どれがどの山とか全然考えなかったからなのかも知れない。荷物を降ろして行動食を食べる。さんざん北アルプスを持ち歩いてきたカロリーメイトが中でボロボロになっていた。あと、お昼を食べていたグループのおばさんにオレンジを二切れ戴いた、有り難うございます。


で、さっさと奥駈道を南へ向かう。しばらくは広い稜線だが、南面は雄大な断崖になっていて、お昼を食べている人が2,3人ほど。少し急な下りを経て国見岳は山頂を巻いて、鎖を下りると広いコルになっていて、苔と笹が美しい。擂り鉢状の池があったが涸れていた。振り返ると大普賢岳と小普賢岳が頭を揃えて突き出している姿は見事である。

鉄梯子の連続を越えて七曜岳に到着。若干樹木に遮られるが、突き出た広い岩から周囲を見渡せる。やはり奥駈道は通して歩きたいなあ、と思う。山頂から少し南へ進むと、無双洞への分岐がある。ここで奥駈道と別れて支尾根を下ってゆく…
…が、下り過ぎて道を外れてしまった。幅広い尾根の途中でいきなり左へ折れるので分かり難い。水太谷への急な斜面をジグザグに下ってゆく。大分遠くから沢の音が聞こえているが、結構距離がある。


沢に出ると其処が無双洞の前である。18年前はこっちからではなく、和佐又側から来てピストンしたようだ。いずれにしても無双洞からは昨日の大雨の所為か、それとも地下水脈の変動か、水が噴出していて中に入ることはできなかった。

無双洞の少し上にもう一つ洞窟があって、そこは乾いている。ただ、奥行きも10mほどしかない。中には蝙蝠が一羽いた。
そして、これも昔は気付かなかったが、無双洞の直下で沢は滝になっている。水廉の滝というらしい。

さて、道は暫くトラバース気味に左俣(無双洞がある側)から右俣へ廻り、涸れている右俣を渡って斜面を登ってゆく。この辺りは石灰岩質の様で、眼前に白い岩盤が出現する。特に名前はない様だが、そのくっきりとした白さは山中に沸いた雲が化石となったかのようであった。

この岩盤の途切れ目に長い鎖場があり、中学1年でこれを越えたのがちょっと驚きである。


鎖場を越えると後は斜面を延々とトラバースしつつ、和佐又のコル目がけて高度を上げていく。和佐又のコルから一筆書きよろしく和佐又山を経てヒュッテへ下山。ススキが美しい。

ヒュッテで栃餅を買って帰ったが、大変美味しかった。
暫く山に登っていなかったのだが、良いリハビリになった。大峰は紅葉の時期にもう一度登りたいものである。



カシミール3Dにて作成)