真?京都一周トレイル Part1 西山縦走(山崎〜老ノ坂)

京都一周トレイルというのは、京都市が中心になって整備している文字通り京都を一周するハイキングルートである。京都盆地を取り囲む山を歩いているとあちこちで道標を見掛ける。
京都は里と山の境目が曖昧で、その分山は身近なものなので歩く人は多い。そのガイドとして一周トレイルは大変良いものだと思うが、天の邪鬼な私としては決まり切ったコースを歩くのは嫌である。そこで、私の「京都一周トレイル」を立案し歩いてみることにした次第である。

条件としては、
1.未整備となっている西山をきちんと歩く。
2.単に一周するのではなく、京都市内から見上げる稜線(スカイライン)を歩く。
3.稜線の基準は三条大橋とする。
ということにした。もちろん、稜線を完全に歩くことは、道でない場所を歩くことであって無茶であるから、自分で許容できる範囲で、である。畢竟自己満足である点については気にしてはいけない。建物がない場合の三条大橋から眺めた稜線については、ひとえにカシミール3Dによる。開発者に敬意を表し、感謝したい。
今のところ、西山から時計回りに歩き、桃山御陵を終着点とし、番外に男山を入れてある。


と言う訳で、JR山崎駅から出発する(7:45)。駅前のコンビニでおにぎりを買う。線路沿いに東へ進み、踏切を渡ってそのまま宝積寺への急坂を登る。宝積寺は閻魔大王とその眷属の群像が大変良いが、普段公開しているのかどうかは知らない。境内から天王山への登山路に入る。
天王山は手頃で見晴らしがよいため大人気のコースだが、時間が早いためか殆ど人はいない。淀川へと落ち込む急斜面を登り、旗立松、酒解神社を経て天王山(270m)到着(8:14)。
昼間はそこかしこにグループが犇めくが、朝は無人である。ここから西山の尾根を辿ることになるが、道は一旦山頂から引き返して、小倉神社への道に入らなくてはならない。この辺りは筍の特産地で竹林が多く、縦横に杣道が張り巡らされていて、注意しないと迷子になってしまう。
山頂を過ぎて暫く行くと、綺麗な雑木林が続く。道も良く整備されている。小倉神社への分岐を見送り、浄土谷へと降りてゆく。浄土谷で舗装道を横断してさらに山道を行くと、柳谷の手前に出る。柳谷観音(9:01)は目の御利益が有名で、月に一度年寄りが大挙して訪れる。

ここからは暫く舗装道をゆく。柳谷から背後の尾根に出る道は、ありそうなのだが地図にはない(後述)。
一旦大阪府に入り、大沢の集落の手前に巨大な杉の木(9:30)がある。此処の杉は単に巨大なだけではなく、屋久杉もかくやと言う雄大な姿で、これまでにも心身が疲れた時期に心を休めるのに何度か訪れた。

大沢の集落から水無瀬川の最上流部を辿ってゆく。途中で分岐があるが、左は谷を詰めて一気に釈迦岳への斜面を上がるルート、右は京都盆地との分水嶺から稜線を辿るルート。当然今回は右である。だらだらと登りが続き、長岡京市との境の名前のない峠(結構はっきりとした峠なので、勝手に名無し峠と呼んでいる)に出る(9:56)。
ここの案内表示に、柳谷から上がってくる分岐が記されていた。道は確かにある様なので歩いてみたい(こっちの方が稜線に沿っている)が、とりあえず先を急ぐ。

だんだん強くなってきた日差しを浴びながら稜線を登る、長岡京市からポンポン山に登るルートなので何人か人を見掛けた。暫く行くと、先程別れた道と釈迦岳の手前で合流し、そこから釈迦岳までは指呼の間である(10:23)。ベンチが二つ、展望はないが人もいない。
釈迦岳からそのまま進むと東海自然歩道が合流し、途端に道が豪華になる。言わば山道の高速道路である。更に少し進むと大原野森林公園東尾根ルートへ抜けられる分岐があるが、ひとまずポンポン山へ(10:24)。

この周辺では最高峰(678.9mしかないが)で山頂は広く、展望も良い上に、高槻からの便がよく、更に東海自然歩道のコースでもあるため、何時も盛況である。流石に冬のこの時間は5グループほどだが、正直夏に登るのは発汗と水分補給のデッドヒートである。
ストーブ(携帯コンロ)でお湯を沸かし、コーヒーとラーメンで早めの昼食。

ポンポン山から元来た道を分岐まで引き返す(11:29)。

尾根の右は京都盆地、左は北摂南丹の山々が美しい。大原野森林公園は、ゴルフ場計画を京都市が土地を買い上げることで撤回させ、自然のままに保存している区域である。交通の便が良くないため歩く人も比較的少なく、美しい自然林を静かに楽しめる。
尾根伝いにゆっくりと高度を下げていき、最後に急な下り坂で大原野森林公園の管理棟に到着(12:17)。

砂利道を少し歩くと舗装道に出るが、舗装道の向かい側、標識も何もなく杉林の中に入っていく道が小塩山へのルートである。道はすぐに左に折れ、尾根を一気に登ってゆく。このルートもまず人に会うことはない。南西に伸びた尾根からなだらかな山頂域に出る。小塩山(642m)は洛西から一番目立つ山で、なだらかな山頂に沢山無線鉄塔が立っている。
薄暗い杉の山頂に淳和天皇の御陵が静かに佇んでいる(12:57)。

無線施設の管理用に麓から一車線の舗装道があり、それをのんびり歩く。最後の無線塔を過ぎた辺りで左へ分岐、大暑山へと続く尾根を歩く。この辺りは尾根を境にかなり植生が違う気がする。京都市側は照葉樹林なのに対して亀岡側は落葉樹林で、道の左右で明るさが全然違う。程なく分岐があり直ぐに大暑山(567.9m)(13:34)。頂上は特に展望がある訳ではないが、尾根道は景色がよい。
元の尾根道に戻って暫く歩くと、西山団地というところに出る。団地という名前から、てっきり住宅地と思っていたのだが、修理工場やら廃棄場やら廃屋やら住居やらが雑然かつ閑散と入り交じっている、何とも荒涼とした場所である。山腹の平らな舞台のような所で、下の盆地からは見えない。京都にもこんなサイバーパンクチックな場所があるのかと少々吃驚。
西山団地を抜け、柵を越えて無線塔への砂利道を歩く。無線塔の入り口は柵で閉じられているが、右へフェンス沿いに回り込む道がある(14:00)。そのまま右へ斜面を下ると沓掛へと降りられる地形図記載の道であるが、そのままフェンス沿いに細い道を進み、無線塔の裏側から北西の尾根を一気に降りてゆく急な道を進む。風化した岩がザレ場っぽくなっていて、その上に落ち葉が降り積もっているので下るのに結構気を遣う。どう見ても今週誰も通らなかったのじゃないかと思ってしまう。降りてくると、新老坂トンネルの管理施設の裏に出て、そのまま廃業した造園業者の中を通って大昔の山陰道に出る。不意と脇を見ると、「従是東山城國(これより東、山城の国)」の石碑が。

そう、ここは老ノ坂。目と鼻の先に首塚がある(14:27)。
酒呑童子大江山で討ち取って持ち帰った首級を此処に埋めたと言われている。鬼の首が埋まっているだけに独特の雰囲気がある。

そのまま旧山陰道を下ると国道9号線の老ノ坂トンネルの手前に出る。

そのまま少し下って、老ノ坂のバス停でバスを待つ(14:40)。変な車が多い。デボネアAMGなんて珍車、初めて見たし、色とりどりのRX-8が峠を登ったり降りたりしている。
バスに乗って桂駅東口で下車。一旦河原町に出てLIPTONのオムライスを食べ、高島屋の地下で総菜を買って帰宅。



三条大橋からの眺望(仮想)にルートを赤線で設定したもの(カシミール3Dにて作成)



今回のルートの高低図(カシミール3Dにて作成)、登ったり降りたり。